2024年11月8日 アメリカ大統領選
アメリカ大統領選挙が5日投開票され共和党ドナルド・トランプ氏が返り咲いた。事前予想では双方拮抗した争いであり、予測が難しいとされていたが、開けてみると勝敗を分けるとされていた激戦州を制していったのはトランプ氏であった。同時におこなわれた上院議員選でも共和党が有利に進んでいた。
トランプ氏は支持者を前にした演説で「我が国が目にしたことがないような政治的勝利だ」と勝利宣言をした。
トランプ氏は選挙戦の中でバイデン政権時に進行したインフレ対策、不法移民の増加による治安対策などを強調して中間層の支持を伸ばしたのであろう。
一方、女性初のアメリカ大統領と期待されたハリス氏は、バイデン大統領が選挙戦さなかの撤退で時間的制約などに含め、トランプ氏の実現可能かどうかは別として極端な主張に比べれば、基本的には現政権の継続に写る。インテリ・ブルジョワ層には好かれるが、大多数を占める市民は物価高など目の前の生活に苦しみ理想より現実を選択したのであろう。
グローバル化とIT進化の陰でラストベルト地区をはじめ、金融資産増加の波にのれず、取り残された感を持ったアメリカ人が多いのは以前から増えていた。富裕層1%の所得が下位層20%の140倍との事である。
前回大統領選でもバイデン大統領は中間、低層に狙いを定めて選挙戦を進めてきたが、就任後もインフレによる生活苦の解消には至らなかった。ハリス氏は副大統領であったため不満を受け止める立場になったであろうし、選挙終盤でのセレブ有名人の応援も生活に苦しむ層には的外れに聞こえる。
勝利したトランプ氏は後を気にせず、また共和党の議会過半数を背に、更に自国第一主義を貫くことが予想される。保守主義、単独主義が一層際立つ政権に対して我国はどう対応していくかが心配になる。現在、日本は政権与党で過半数がなく、極端に言えば政策合意なくとも対与党との一点で野党が結束すれば、不信任案をいつでも可決出来る状況であり、大臣もやめさせる事も可能になるほど不安定である。前政権から引き継ぐ主にアメリカからの防衛装備品購入なども円安の影響で予定より増額している。日本も独立国なので言われるままとはいかないが、利益優先のトランプ氏と金銭的ディールは難解を極めるだろう。