4日投開票の東京都議選(定数127)は、自民党が改選前の25議席を8議席上回る3 3議関を獲得したが、選挙序盤予測の45議席を大きく下回り、全員当選した公明党の2 3議席と合わせても、56議席となり、過半数の64議席に届かなかった。自民党の大敗で ある。史上最大の大敗である17年の30議席に次ぐ大敗となった。一方、選挙序盤予測で 15席前後であった都民ファ―ストは終盤盛り返して、45議席から14議席減の31議 席に切り返し善戦した。共産党と立憲民主党は、共闘をなし、それぞれ1議席増の19議 席、6議席増の14議席となったが、自民、都民ファ、公明党に次ぎ第4党、第5党にとど まり、政権の受け皿とはなりえないとの評価となった。 問題は、9月以降の衆院選の帰趨である。都議選が次期衆院選の先行指標との慣例から であるが、自民党の大敗が予測される。ファクトはどうなのか、である。自民党の序盤の予 測では45議席以上、都民ファ―ストは15~20議席であったのが、結果は自民33、都 民ファ―スト31議席となった。自民の12議席が都民ファに食われたからである。事実、 品川区(定数4)、目黒区(定数3)で擁立した2人とも落選、大田区(同7)では擁立し た3人のうち2人が落選した。候補者積極擁立が裏目に出た。読売の出口調査によれば、自 民支持層のうち、自民候補に投票したのが57%、都民ファに19%が投票している。ここ が自民党大敗の元凶である。 何故、選挙終盤、自民支持層の2割もが都民ファに流れたのか、である。小池都知事入院 への同情票と投票日前日の小池氏の復活劇が、である。小池人気にしてやられたのである。 事実、小池氏入院を契機に都民ファの支持率上昇、自民支持率下落となっている。衆院選で の自民勝利の課題は、都民ファ支持の国政選挙での行く先となる。都民ファは国政政党で ないからだ。朝日の出口調査で自民支持率は26%、都民ファ12%であり、総計38% で、全国の自民党支持率35%前後に準じる。都民ファの支持層の国政レベルでの取り込 みが急務となる。 そこで、問われるのが小池氏の国政進出の意志の有無である。小池氏は、18年の希望の 党の挫折以来、都知事職に専念しているが、五輪終了後には国政進出の用意がある。そのた めに、二階幹事長とのパイプを持ち蜜月を維持してきた。小池氏は日本初の女性総理への 野望を公言している。小池新党をもっての総理の道は諦め、自民党に復党しての総理への 道に転換したといえる。その意味で、小池新党はなく、東京9区での国政復帰を狙ってい る。自民公認が取れなくても無所属で出馬する意思である。小池新党の変動要因が消える ことによって、都民フ支持の自民支持への取り込みは可能となる。従って、衆院選の帰趨 は、自公 VS 野党共闘となる。東京五輪・パラリンピックは無観客開催となるが、日本人選手の金メダルラッシュとなり、9月末には、ワクチン効果に拠ってのコロナ収束の兆しが みえてくる。内閣支持率の40%前半から50%台に、自民支持率の35%から40%台 に上昇、一方、野党第1党の立憲支持率は10%以下のままである。政権交代への機運ゼロ である。東京五輪中止、コロナゼロリスクを主張し、政権担当能力のなさを露呈したからで ある。 朝日の6月調査の比例代表投票先で、与党は自民35%+公明7%=42%に対して、 野党共闘は、立憲14%+共産5%+国民3%+社民1%+れいわ2%=25%である。 都議選で国民、社民、れいわは議席ゼロであったことから、野党共闘の実質は立憲14%+ 共産5%=19%になる。一方、自民35%は、内閣支持率、自民支持率上昇によって4 0%にはなる。自公47%VS 野党共闘19%と杏里、289の1人区で自公の圧勝となる が。都議選での自民大敗は、小池人気にやられたのであり、小池新党封じての衆院選で与党 圧勝へ、である。