アメフト蛮行。組合も参加する日大の権力闘争。

2018年5月31日 高野育郎 - グループアム代表 -
 日本大学アメリカン・フットボール事件は、ゲーム中に背後からのタックルという前代未聞の反則行為からスタートした。
 
 この騒動は、選手の記者会見、退部宣言、監督・コーチの記者会見、学長の記者会見へと続き、関東学生アメリカン・フットボール連盟は、日大アメフト部首脳陣に永久追放を言い渡した。さらに、被害を受けた関西学院の選手側からは、刑事告訴を受け、日大教職員組合からは、マスコミと世論の動きを背景に、理事長以下大学の首脳陣に対して、総退陣を突きつけられることとなった。
 
 まるで、ドブに落ちた犬をたたくが如く、これでもかといった状況が5月下旬、現在も続いている。

 ところで、いつも通りのメディアの取材のあり方に疑問を持たざるをえない。まだ調査結果も出ていない状況下で、日大アメフト部と日大を悪の根源であるかのように誘導する報道の仕方だ。日大を諸悪の根源だとするのは、日大帝国の本質的な問題で、それは、日大内部の改革案件ではないのか。

 客観的な事実は、ゲーム中に行われた、レート・チャージによる蛮行だけである。当該選手の記者会見が立派であるとか、首脳陣と司会者の日大側のドタバタぶりが、マスコミの好餌となりメディアの冷静さを喪失させている。監督とコーチの指示の事実認定は不可能であろう。
 
 過激な表現をするならば、「ツブしてこい」という表現を「殺してこい」という表現にかえても、ゲーム中に殺しに行く選手はいるわけがない。
往々にして、コンタクトプレイの多いスポーツでは、選手間でも、交換される激であるだろう。

 そんなことよりも、指示があろうがなかろうが、当該選手があのようなプレイをせざるをえなかったという日大アメフト部の体質であろう。

 ま、これくらい大騒ぎをしなければ、日本大学の膿は出ないのかもしれない。
しかし、表向きは、アメフトの悪質プレイを巡って、言った・言わないの責任論がしばらく続く。首脳陣の退陣ではことの本質には迫れない。

 いずれにしても、これから先は日本大学の権力闘争に移行していく。3000億から、5000億、ひょっとすると1兆円の利権をめぐって、理事長と常務理事、学長の椅子を取り合うことになるのだろう。
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