2013年11月11日 朝日社説「国民投票法」「『18歳』はどこに行った」について
「世界標準は、18歳以上に」
朝日の社説に「国民投票法」「『18歳』はどこに行った」が書かれている。
「かつて自分たちが法律で決めたことでも『だめなものはだめ』、それが憲法改正の党是を妨げても構わない――。改憲の手続きを定めた国民投票法改正をめぐり、自民党内でこんな珍妙なことが起きた。
国民投票法で認められている18歳からの投票権を実質的に20歳に引き上げる改正案を、自民党がまとめたのだ。憲法改正の議論には将来を担う若者に参加してもらいたいという理念にも、18歳以上に選挙権を認める世界の潮流にも反する案だ。再考を求める。
07年にできた国民投票法は、投票権を18歳以上に認めた。ただ、成人や選挙権は20歳以上であるため、それらを18歳にするまでは国民投票も20歳のままとし、2010年までに民法や公選法の改正を進めることが法の付則にうたわれた。ところが、その後の与野党対立や政府の検討の遅れにより、成人・選挙権を18歳に改める動きはまだない。
安倍政権は、国民投票を先行させて18歳以上に確定する法改正を今国会で実現させる方針だった。いまのままでは憲法改正をしたくても国民投票は実施できないと考えたからだ。
これに真っ向から異を唱えたのが首相にも近い党内保守派だ。『国民投票だけ18歳なのはおかしい』と猛反発し、党憲法改正推進本部の議論は紛糾。結局、民法改正などに期限は設けず、それまでは国民投票も20歳以上とすることで決着した。
公明党や野党の大勢は投票年齢を18歳とすることで一致しているし、成人・選挙年齢の引き下げにも前向きと言える。
少子高齢化で、若者に社会保障の負担が重くのしかかる時代だ。選挙権を18歳以上に認め、若い世代の意見も政治に反映させることは望ましい。国立国会図書館などが調べた190カ国・地域のうち、18歳またはそれ以下に選挙権を認めているのは173にのぼる。成人年齢もそれに近い。
自民党の推進本部の幹部は、憲法改正には衆参両院の3分の2の賛成が必要なことから、『他党と歩調を合わせたい』と説得。それでも保守派は、頑として聞き入れなかった。
この議員たちは、婚外子への相続差別は違憲との最高裁決定を受けた民法改正にも、最後まで反対した。要は、これまでの社会秩序は変えたくないということのようだ。党是の実現が遠のくのは自民党の勝手だ。だが、日本がいつまでも古くさい社会にしばられるのは御免こうむりたい」。
朝日が社説の冒頭に書いている「かって自分たちが法律で決めたことでも『だめなものはだめ』、それが憲法改正の党是を妨げても構わないーー。改憲の手続きを定めた国民投票法改正を巡り、自民党内でこんな珍妙なことが起きた」は、正論である。首相に近い保守派が、07年に決めた18歳以上に投票権を認める国民投票法を否定し、当面20歳以上と修正したからである。18歳以上に、投票権、選挙権を与えたくないからである。憲法改正にマイナスになると見ているからである。
問題は、ここにある。18歳以上に選挙権を認めるのが、世界の潮流であり、世界標準なのである。190カ国中、173カ国がそれである。先進国で日本のみが例外である。憲法改正の議論に18歳から参加すべきなのである。それが世界標準だからである。安倍首相は、時代錯誤で偏狭な保守派の抵抗を押し切り、開かれた保守に変える歴史的責務がある。