2016年1月19日 日経に「文化庁、一部機能を京都に」「文化財保護部署、長官も常勤」

日経に「文化庁、一部機能を京都に」「文化財保護部署、長官も常勤」が書かれている。

政府は15日、政府機関の地方移転で、文化庁の機能の一部を京都に移す方針を固めた。文化庁長官を常勤させ、文化財保護の関係部署も段階的に移転する方向。消費者庁も徳島県への移転を試行する。参院選を前に地方創生の一環として成果を打ち出したい考えだが、本格移転には政府内に慎重論が根強い。

<消費者庁、徳島で試行、政府方針>

政府が3月末までにまとめる政府機関移転に関する基本方針に文化庁の京都移転を明記する。石破茂地方創生相は15日の閣議後、文化庁を所管する馳浩文部科学相、河野太郎消費者相と地方移転を巡って意見交換した。文科相は閣議後の記者会見で「関係閣僚と連携を取って進めていく必要がある」と強調。14日には京都府知事から直接要望を受け「移転を前提に検討する」と伝えた。

政府内では京都に事務所を新設し、文化庁長官を常勤させる案を検討している。文化庁長官は国会で答弁する機会がほとんどなく『京都での執務も可能』(政府関係者)だとする見方があるためだ。

トップが都内を離れることで移転の象徴とする意味合いもある。段階的に文化財保護の関係部署を移す断取りを描く。

京都府の山田啓二知事は15日の記者会見で『最終意思決定をする人がどこにいるかが大きな問題になる』と述べ、文化庁長官の京都常勤に期待感を示した。『できる限り多くの機能が京都に来てほしい』としつつ『意思決定をする人がいる場所が文化庁の所在地になる』と指摘した。

一方、河野消費者相は15日の記者会見で『3月末時点で<ノー>とはならない』と述べ、徳島県への移転が進展するとの見通しを示した。河野氏は3月に消費者庁長官ら幹部を1週間程度、試験的に徳島県に勤務させる方針。夏には長期的に職員を派遣し、移転の際の課題を整理する計画も進めている。

政府機関の地方移転は2014年末の地方創生総合戦略で打ち出した。15年12月に自治体からの提案を踏まえ、文化庁や消費者庁など中央省庁7機関を含む計34機関を検討対象とした。職員の大幅な転勤などを伴うことから地方移転に難色を示す省庁や関係団体が多いものの、地方には企業の地方移転を誘発し、地方経済の活性化につながるとの期待がある。

<中央省庁5機関は慎重>

政府が移転の検討対象とした中央省庁7機関のうち、文化庁と消費者庁を除く5機関は具体的な動きが見えてこない。中小企業庁や特許庁を所管する林幹雄経済産業相は15日の記者会見で『東京にある方が望ましい』と指摘。気象庁や観光庁を移転対象に抱える石井啓一国土交通相は『機能維持が困難になる』と慎重な姿勢を示した。

いずれも国会対応や危機管理の観点から難色を示した格好だ。高市早苗総務相は『専門人材を地方で確保できるかも論点だ』との人材面の課題も指摘する。

政府機関の地方移転は東京に集中する企業の本社機能の地方移転を促すため『国が範を示す』(石破茂地方創生相)のが狙い。ただ菅義偉官房長官が『多くの課題を詰める必要がある』と指摘するなど政府一丸で推進する機運は乏しい。

文化庁や消費者庁も実現しそうなのは一部の機能にとどまる。このため『地方の出先機関が増えるのと変わらない』との声もあり、実現しても地方の活性化につながるか不透明だ」。

政府機関の地方移転は2014年末の地方創生総合戦略で打ち出したが、政府が移転の検討対象とした中央省庁7機関のうち、文化庁と消費者庁を除く5機関は慎重姿勢である。経済産業省所管の中小企業庁、特許庁、国土交通省の気象庁、観光庁、総務省の統計局。官邸主導で担当大臣の慎重姿勢をただすしかないが。

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