2015年8月4日 日経「今週の市場」「羅針盤」 清水功哉・編集委員「内閣支持率低下と市場」

日経の「今週の市場」「羅針盤」に、清水功哉・編集委員が「内閣支持率低下と市場」を書いている。

「安全保障関連法案の参院での審議が今週始まる。法案への国民の理解が広がらない中、与野党の攻防は激しくなりそうだ。急低下し始めている安倍晋三内閣の支持率が『さらに下がる可能性も否定できない』(河野龍太郎・BNPパリバ証券チーフエコノミスト)との声もある。市場への影響にも関心が集まる。

安倍内閣の支持率急低下のきっかけは、15日の衆院特別委員会における安保法案の与党単独採決だとみられている。日本経済新聞社の世論調査(24~26日実施)で支持率は38%。6月下旬の前回調査から9ポイントの低下となった。不支持率(前回40%)は50%で、支持と不支持が逆転した。

政権の安定にとって『危険水域』といわれる支持率20%台とはまだ距離があるし、安倍首相は『参院審議を通じてわかりやすく説明したい』と強調している。今後低下に歯止めがかかる可能性もある。ただ、安倍首相は『支持率だけを大切にするならこういう法案を通そうとは思わない』とも語っている。参院での審議や採決のやり方などによっては今後支持率がさらに低下しかねないとの指摘も出てくるわけだ。

そうなった場合、株価に悪影響が及ぶリスクは皆無でないだろう。政権基盤が不安定になれば、既得権益の『岩盤』を崩す改革が進めにくくなり、外国人投資家を中心に否定的な受け止め方をされる恐れはあるだろう。

為替相場への影響はどうか。株価下落でリスク回避の雰囲気が強まれば、『安全通貨』の円への資金移動が進みやすい。とすれば円高圧力がかかる。ただ、支持率の低迷が続けば政権が経済テコ入れに動こうとすることもあり得る。その際に『金融緩和策が過度の負担を強いられるなら円安要因になる』(植野大作・三菱UFJモルガン・スタンレー証券チーフ為替ストラテジスト)との見方もある。安倍内閣の支持率に大きな変化が生じるなら、内外の市場参加者は新たなシナリオ作りを迫られそうだ」。

政権瓦解の「青木の法則」に照らして見ても、内閣支持率38%+自民党支持率36%=74%と、50%ラインより、24ポイントも上回っている。参院での安保法案成立時、60%台を維持するのは必至となり、市場への影響は限定的となるが。

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