2014年6月28日 朝日 「閣議決定、来週持ち越し」「集団的自衛権、公明に異論残る」

「7月4日までに閣議決定」
朝日に「閣議決定、来週持ち越し」「集団的自衛権、公明に異論残る」が書かれている。

「安倍晋三首相が目指す、憲法の解釈を変えて集団的自衛権を使えるようにする閣議決定が来週に持ち越されることとなった。25日に開かれた公明党内の協議で、自民党と大筋で合意した閣議決定の原案に異論が噴出し、週内の正式合意が難しくなったためだ。

政府・自民側が24日の与党協議で示した原案では、集団的自衛権を使う条件となる文言は当初、『他国に対する武力攻撃が発生し』だったが、『他国』を『我が国と密接な関係にある他国』に修正。国民の権利が根底から覆される『おそれ』の部分も『明白な危険』と書き換えられた。公明側は『意見が採り入れられた』と大筋で受け入れた。

しかし、この日の公明党の議論では、修正部分への批判が出た。『他国の部分は<同盟国>とさらに限定すべきだ』『<明白な危険>という表現では、時の政権の主観的な判断が排除されない』など、日本の武力行使の範囲をさらに限定的にするための歯止めを求める意見が相次いだ。

政府・自民は、安倍首相が7月上旬に豪州を訪問する前の閣議決定を目指している。公明側は当初、週内に党の意見集約を図る考えだった。北側一雄副代表は協議後、記者団に『27日に集約できるとは思っていない。政府側とのキャッチボールがまだ必要』と述べ、週内の与党協議での正式合意は難しいとの認識を示した。28日には地方議員を集めて意見交換する方針という。

一方、自民、公明両党は25日午前、幹部会合を開き、閣議決定の後に、安倍首相が出席する予算委員会の閉会中審査を開くことで一致した。時期や期間については調整を続けるが、自民党の石破茂幹事長は記者団に『国民に説明する場が必要だ』と語った。

<公明支持者、反発・戸惑い>
「集団的自衛権の行使容認をめぐる自公の大筋合意。『平和の党』を掲げてきた公明党支持者や地方組織は、どう受け止めているのか。

『おそれ』の文言は『明白な危険』に変更へ――。公明新聞や一般紙を読みながら宮崎市に住む60代の女性は『難しすぎておばちゃんには分からん』とため息をついた。公明党の支持母体である創価学会婦人部のメンバー。『表現や形容詞でもめているけど、そもそもは憲法解釈を変えることの恐ろしさだったはずよね』と党の方針に首をかしげた。

福岡県宇美町議会では、集団的自衛権の行使容認について慎重審議を求める意見書案が20日、可決された。提案したのは公明党の町議2人。町議は『どこが問題なのかさえ、よくわからないのが実情。憲法に関わることでもあり、慎重に議論すべきだ』と話す。

与党協議がスタートしたのは約1カ月前。以来、9回の協議があった。『ぎりぎりのところで、合意はやむを得ないのでは』。金沢市の会社員女性(27)は一定の理解を示す。大阪市西成区の男性学会員(85)も『いまの日本をとりまく環境を考えれば、仕方ないのではないか』と話した。念頭にあるのは尖閣諸島をめぐる中国の動きだ。『誰かが守ってくれるわけではない』。

ただ、多くの支持者らは『大筋合意』に反発する。創価学会員でさいたま市の自営業男性(45)は『将来、自衛隊が際限なく紛争に巻き込まれる心配が大きい』と憤る。東京都大田区の女性(66)も創価学会員。『最初は(自民を)押し返してくれるかと思ったけれど……。自民党と連立を組み続ける必要があるのか』。

都内の党本部前では25日、市民らが集まり、『まだ間に合う』などと呼びかけた。埼玉県所沢市の派遣会社員西尾典晃さん(46)は『亡くなった母は<平和の党だから、弱い者の味方だから>と40年間支持していた。今の姿を知ったら、裏切られたと思うはずだ』」。

公明党の山口那津男代表が、26日夜、NHKの番組に出演し、集団的自衛権の行使容認を巡る閣議決定の修正案について、『二重三重の歯止めが利いており、核大解釈の恐れはないと判断している」と述べ、受け入れる意向を表明した。慎重派の急先鋒だった山口代表の容認発言を受けて、公明党の党内調整が本格化し、週明けには、党内手続きを終える見通しである。7月4日までの閣議決定が確実となった。高村副総裁の「限定容認論」を選択した安倍首相の戦略的勝利である。「歴史の審判に堪え得る」閣議決定となる。

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