2018年1月11日 読売「スキャナー」に「日本経済 強気が優勢」「26年ぶり終値2万3000円台」

読売の「スキャナー」に「日本経済 強気が優勢」「26年ぶり終値2万3000円台」が書かれている。   

「東京株式市場は4日、2018年最初の取引日となる大発会を迎え、日経平均株価(225種)の終値が1992年1月以来、26年ぶりに2万3000円の大台を回復した。幸先のいいスタートに市場では株価の先行きへの楽観ムードが強いが、北朝鮮情勢など波乱要因もくすぶっている。

<大発会、741円上昇>

『おおー!』。4日朝、東京証券取引所で開かれた大発会の式典直後、スクリーンに日経平均の2万3000円超えが表示されると、会場からはどよめきと拍手が沸き起こった。

買い注文が膨らみ、日経平均は17年12月29日の終値比741円39銭高の2万3506円33銭で取引を終えた。終値としては1992年1月7日以来、約26年ぶりの高値水準だった。

株価を押し上げたのは、年明けに進んだ米株高の流れだ。3日のニューヨーク株式市場では、好調な経済指標を背景に、ダウ平均株価(30種)などが史上最高値を更新。東京市場でも投資家心理が強気に傾いた。

原油価格の上昇傾向を受け、収益改善が見込まれるエネルギー関連株の上昇が目立った。産油国・イランの反政府デモの拡大などが懸念され、3日の米市場で代表的な指標となるテキサス産軽質油(WTI)の原油先物価格が約2年7か月ぶりの高値をつけたことも材料視された。
    
<「死角ない」>

SMBC日興証券によると、1年の相場を占うとされる大発会で日経平均が上昇  した過去45回のうち、32回は年間を通じても株価が上昇している。  

好調な企業業績を背景に、市場では『今年夏から秋にかけて日経平均は2万7000円を目指せる』(野村証券の西沢隆投資情報部長)などと強気の見方が優勢だ。大和証券グループ本社の中田誠司社長は4日の賀詞交換会で、『(相場には)今のところ、本当に死角がないくらいだ』と話した。

<地政学リスク>

市場関係者が18年の最大のリスク要因として挙げるのは、北朝鮮情勢などが緊迫化する『地政学リスク』だ。中東情勢が悪化する懸念も高まっている。

世界的な株高を演出している主要中央銀行の金融緩和策の行方も焦点だ。米連邦準備制度理事会(FRB)は18年も緩やかな利上げを進める姿勢を示しているが、かじ取りを誤れば、世界経済を引っ張る米国の景気に悪影響を及ぼす懸念もある。クレディ・スイス証券の市川真一チーフ・マーケット・ストラテジストは、『米経済が減速すれば日本への影響も大きく、日経平均は2万円を割り込む恐れもある』と指摘する。

原油価格の動向にも注意が必要だ。17年末の全国のレギュラーガソリンの平均価格は1リットルあたり141・7円で、15年7月以来の高値だ。値上がりが続けば、家計などへのマイナスの影響も大きくなる。

≪雇用と企業業績 好調、バブル崩壊後・92年と違い≫

日経平均の終値が前回、2万3000円台をつけていた1992年1月は、バブル景気の崩壊で89年に史上最高値(日経平均は3万8915円)となった株価が下落していく局面だった。

バブル景気は86年11月に始まり、91年2月まで続いたとされる。92年1月当時はバブルの影響が色濃く残り、時価総額の上位には、過剰な不動産融資などでバブルを演出した大手銀行株がずらりと並んだ。

現在の時価総額首位はトヨタ自動車で、上位5銘柄にはソフトバンクグループといった情報通信業も入る。株価は同水準でも、『企業業績は当時よりはるかによく、今の株価には企業の実力という裏打ちがある』(SMBC日興証券投資情報部の太田千尋部長)との指摘もある。

経済指標では、人手不足を背景とした雇用関連の改善が目立つ。2017年11月の有効求人倍率は1・56倍で、バブル期の最高値(1・46倍)を上回る約44年ぶりの高水準だった。17年11月の完全失業率(季節調整値)は2・7%で、約24年ぶりの低水準だった。

一方、17年11月の消費者物価指数(生鮮食品を除く総合)の上昇率は前年同月比0・9%増にとどまる。日本銀行が「デフレ脱却」に向けた目標とする物価上昇率2%には届いていない状況が続く。家計が保有する現金・預金はバブル期の2倍近い943兆円に膨らんだ。将来への不安から消費や投資を手控える様子がうかがえる。

格差の拡大も懸念されている。所得格差の程度を表す「ジニ係数」は、税金などを支払う前の所得(当初所得)で、直近の14年時点で過去最大を更新した。最近の株高で株式を多く保有する富裕層と、中間層などとの格差がより拡大しているとの見方もある。

政府は経済界に、今春闘での3%の賃上げを要請している。株高や好調な企業業績を賃上げという形で社員に還元し、個人消費の活性化につなげられるかどうか。18年はデフレ脱却に向けた正念場となりそうだ」。

4日の東京株式市場の大発会で日経平均株価の終値が1992年1月7日以来26年ぶりに2万3000円台を回復した。3日のNY市場でダウ平均が史上最高値を更新したからである。

問題は米株高基調がいつまで続くのか、である。米中間選挙の11月までトランプ政権は政策総動員で景気拡大にまい進するから、11月までは、続く。日経平均は11月には2万7000円台にまで上昇、90年以来28年ぶりの高値となる。デフレ脱却宣言の秋となるが。

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