2014年11月15日 朝日「時時刻刻」「国会渦巻く解散風」

朝日の「時時刻刻」に「国会渦巻く解散風」が書かれている。

年内の解散・総選挙も念頭に走り始めた与野党。だが、『女性活躍』など臨時国会で首相自ら掲げた重要法案が解散で廃案になりかねない。野党からは、解散の大義が明確でないとして、与党の勢力維持だけを目的にした『ご都合主義』解散との批判も出ている。

<自民、1年生向け必勝塾、公明・学会も準備加速>
自民党幹事長自ら、解散風をあおるような発言をした。『もうじき2年生議員になられる方が、たくさんお並びになった』。11日夜、東京都内のホテルで開かれた公明党衆院議員のパーティー。来賓の谷垣禎一・自民党幹事長は、壇上に上がった公明党の当選1回の議員を前に、近く解散が行われることをにおわせ、会場の笑いを誘った。

谷垣氏はこの日の記者会見で、解散について『私から申し上げることはない』と明言しなかったが、13日には当選1回の衆院議員約120人を対象にした『選挙必勝塾』を開くなど、着実に準備を進める。東海地方選出の当選1回の議員は『今週中にポスターの写真撮影や選挙事務所の確保を済ませる』と語った。

連立を組む公明党はもっと前のめりだ。支持母体の創価学会は11日午後、都内で全国各地区のトップを集めた『方面長会議』を急きょ招集。参加者によると、総選挙の最短のシナリオとして、12月14日投開票を念頭に選挙準備を加速させることを決めたという。

関西の創価学会幹部によると、11日に各地区で統一地方選に関する会合を開く  だったが、急きょキャンセル。方面長会議の議論を受けて近く改めて集まり、総選挙に向けた準備を本格化させる。公明党の山口那津男代表も、支持母体の動きに合わせるように、この日の党幹部会合で選挙準備に入るよう指示した。

政権内ではこのところ、来年に入ると解散・総選挙を行う環境が悪くなるとの見方が急浮上していた。仮に、年内に世論の反対が強い消費増税を決め、来年に入って、集団的自衛権の行使容認を踏まえた安全保障法制の審議や原発再稼働など、世論が割れる政策や法案を進めるとなれば、内閣支持率の低下が懸念されるからだ。経済指標の中にも悪化しつつある数字があり、野党間の選挙協力も進んでいないことから、公明党幹部の一人は『年内の総選挙は悪くない』とみる。

<野党、候補者選び急ぐ>
一方、降ってわいた解散話に、選挙態勢が整っていない野党は混乱気味だ。民主党は11日、海江田万里代表や枝野幸男幹事長ら幹部6人が党本部で緊急会議を開き、早期解散はありうるとの認識で一致。295ある小選挙区のうち、とりあえず半数以上で公認候補者を擁立することを決めた。枝野氏は会合後、記者団に『野党第1党として過半数を取り得る候補者を立て、責任を果たさなければならない』と述べた。

維新の党は今月7日から衆院選候補者の公募を開始。募集期間は12月5日までだったが、小沢鋭仁・国会議員団幹事長は『公募は平時対応だ。方式を変える必要がある』として、候補者選びを加速させる。

ただ、民主や維新、みんな、次世代、生活の計5党で、現職議員や公認候補内定者が重視する選挙区は約50にのぼる。調整不足のまま総選挙に突っ込めば、共倒れになる可能性もはらむ。

<大義は?重要法案は?批判も>
野党からは、そもそもなぜ解散するのか、という『大義』を問う声も出ている。『消費増税を凍結するなら、<凍結法案>を通してもらいたいと強く申し上げる』。小沢鋭仁・維新の党国会議員団幹事長は11日の記者会見で語った。

野党にすれば、首相は世論の反発が強い消費増税を見送り、世論 支持を得た上で解散に打って出て、与党の勢力を維持しようとしているだけだと見える。単に増税を先延ばしするだけなら、維新などが出している消費増税の凍結法案を審議し、成立させればいいではないかというわけだ。

さらに、首相自らが重要だと位置づけた法案まで、解散のタイミング次第では廃案になりかねないことへの批判も多い。

民主党の福山哲郎政調会長は11日の会見で、『(解散は)すべての政策を投げ出すことにつながる。はなはだ無責任だ』と指摘した。

安倍政権が掲げる『地方創生』の目玉で、人口減対策の基本理念を定めた『まち・ひと・しごと創生法案』は審議が比較的順調に進み、与党は最速で19日に成立させる日程を描く。だが、それまでに解散になった場合、廃案になる可能性がある。与党からさえ、『地方は不愉快に思っている。<全てやり遂げてから解散>という声が多い』(伊達忠一自民党参院幹事長)との声が出ている。

もう一つの看板法案『女性活躍推進法案』も成立が危ぶまれる。与党は14日に衆院内閣委員会で採決する方針だが、その後の審議日程は白紙だ。政権が意欲を見せる労働者派遣法改正案をめぐっても、民主党が政府・与党の『不手際』を指摘し、審議日程を決める11日の厚生労働委員会理事懇談会を欠席。成立のめどが立っていない。

民主党の川端達夫国会対策委員長は、目的がはっきりしない解散だとして、『アベノミクスがうまくいかない、スキャンダル続きということで、すべてをリセットしたいという<ご都合主義の身勝手な大義なき解散>だ。何のためにやるのか理解できない』と批判した」、連立を組む公明党の支持母体である創価学会が、11日午後、都内で全国各地のトップを集めた「方面長会議」を急きょ招集、12月14日投開票を軸に選挙準備を加速させることを決めた。創価学会が動きだしたことで、解散・総選挙の流れはもう止まらない。

問題は、解散の大義名分である。直近の読売世論調査によれば、「解散・総選挙を急ぐ必要はない」が73%もあるからだ。この民意の7割を納得させる大義名分が必須となる。再増税先送りだけでは弱い。同調査で、再増税反対が83%もあるから、再増税先送りは当然との受け止めであり、そもそも争点になり得ない。3党合意の主役であった民主党も「再増税先送り」賛成に回るからである。安倍首相はもともと、消費増税に反対であり、アべノミクスと相反するのだから、3党合意反故である消費税減税の是非を大義名分にすべきである。「再増税先送り」ではなく、「消費税減税3%」を、である。サプライズとなり、民主党は、猛反対するから争点になり、自民党は295議席を超えて300議席に乗せ、自民党は圧勝するか。

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