2018年7月17日 朝日 社説「参院選挙制度」「自民の横暴、極まれり」

「定数6増は改憲発議を確実にするために」

朝日の社説に「参院選挙制度」「自民の横暴、極まれり」が書かれている。

「自民党の『数の力』による横暴が極まった。

参院の議員定数を6増やす自民党提案の公職選挙法改正案がきのう、参院の委員会と本会議で可決された。すべての野党の反対を押し切ってのことだ。

衆院での審議が残るとはいえ、成立は確実な情勢だ。

選挙制度は民主主義の根幹にかかわる。それを委員会での審議わずか6時間ほどで、政権党が独断で変えてしまう。

まごうことなき暴挙であり、民主主義の破壊である。

しかも、自民案は党利党略そのものだ。

比例区に、政党が優先的に当選させられる特定枠を設けた上で、定数を4増やす。合区した『島根・鳥取』『徳島・高知』の選挙区に擁立できない現職議員の救済策にほかならない。

政党が決めていた当選順を、2000年に現行の個人名得票の多い順に強引に変えたのは自民党だ。それを今回、部分的に元に戻す。あまりのご都合主義に、あぜんとする。

特定枠の数は『一部』とあるだけで、各党が自由に決められる。政党ごとに違っていいし、『全部』でさえなければ、候補者の大半を充てることもできる。党名でも候補者名でも投票できる比例区に特定枠が加わることで、有権者には一段とわかりにくい制度になる。

各党は、合区を導入した前回15年の改正法の一部である付則に『制度の抜本的な見直し』を19年の参院選までに検討し、『必ず結論を得る』と書いた。

だから、選挙区の『一票の格差』の是正にとどまらず、衆院との役割分担を踏まえた制度改革が期待された。

だが、自民案は、選挙区と比例区の二本立てという現行制度の基本はそのまま。埼玉選挙区の2増で、一票の格差が3倍をわずかに下回るようにしただけに過ぎない。

安倍首相も6月の党首討論で『臨時的措置』と認めた。抜本的な見直しは影も形もない。これほど法律を軽んじる姿勢が、許されていいわけがない。

参院の定数が増えるのは、沖縄の本土復帰に伴う2増以外、例がない。それほどの方針転換なのに、納得のいく定数増の説明は何もない。

今回は公明党と日本維新の会が、全国11ブロックの大選挙区制を提案するなど、抜本改革の芽はあった。国民民主党と立憲民主・希望の党も案を出した。

それらを自民党が一蹴し、公明党も最後は従った。民主主義の危機を強く印象づける与党の暴走である」。

社説の主旨である「自民の横暴、極まれり」に異論がある。

参院の議員定数を6増やす自民党提案の公職選挙法改正案が昨日、参院の本会議で可決され、22日までの会期内成立が確実となった。来年の7月参院選から施行される。定数6増は与党が独占可能となり、朝日の言う「自民党の党利党略そのものだ」は、正しい。

問題は、自民党の党利党略とは何か、である。来年7月の参院選で改憲勢力で3分の2以上の議席を確保することにある。改憲発議をするためにである。自民党の党是が憲法改正であるから当然である。参院定数6増は、改憲発議を確実にするためにである。議会制民主主義の要諦は、民意に支持された数の力であり、安倍晋三政権が、国政選挙5連勝で衆参両院で改憲勢力で3分の2以上を占めたので、2020年まで改憲を施行するのは必然となる。来年7月の参院選での改憲勢力で3分2以上確保は至上命題となり、定数6増は絶対条件となる。このどこが、自民党の横暴、極まれりとなるのか、

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