2017年8月3日 日経「習氏『党主席』復活提案へ」「長期政権へ布石」「35年ぶり、毛沢東時代の威光」

日経に「習氏『党主席』復活提案へ」「長期政権へ布石」「35年ぶり、毛沢東時代の威光」が書かれている。

「中国共産党の習近平総書記(国家主席)が秋の党大会に向け、長期政権への布石を打つ。党大会後の新体制を協議する重要会議を近く開き、強い権限を持つ『党主席』の復活を提案する。建国の父とされる毛沢東が死去するまで30年余り就き続けたポストで、権力集中を進める狙い。5年に1度の党大会時に68歳以上の幹部は引退する定年制の見直しも議論する。実現すれば、改革開放以降に確立した中国の集団指導体制が大きな転換点を迎える。

<指導者・長老が集結>

中国共産党は毎年7月末から8月上旬に河北省のリゾート地、北戴河に党の指導者と引退した長老らが集まり、幹部人事など重要政策について意見交換する。『北戴河会議』は非公式。日程や参加者など一切の情報が開示されないが党大会に大きな影響力を持つ。

今年の主要議題は党大会で刷新する最高指導部(政治局常務委員)の人事。党関係者は『党中央委員会主席(党主席)を新設する組織改革案が取り上げられる』と日本経済新聞に語った。

毛沢東は1945年から76年に死去するまで党主席に就き続けた。かつての憲法は党主席が『武装力量を統率する』と規定。党や政府、軍に対して強い権限を持たせていた。毛沢東への権力集中が文化大革命などの混乱をもたらした反省から82年に廃止した。

党主席の復活案は長期政権に布石を打つ色彩が濃い。国家主席の任期は憲法で『2期まで』との規定がある。総書記も党の暫定規定に「連続2期まで」との文言がある。党主席の新ポストは、2012年に総書記に就いた習氏にとって2期目を終える22年の党大会以降も最高指導者の地位にとどまることを可能にする。

党関係者によると党主席は昨年も議題となり、一部の長老から賛同を取り付けたが、結論は先送りされていた。今回は日本の官房長官に相当する中央弁公庁主任の栗戦書・政治局員が具体案を提示する方向。秋の党大会で党規約を変更し、来春の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)に憲法改正案を提出する日程を描く。今年の北戴河会議で意見を集約できるかどうかが、習氏の求心力を測る試金石にもなりそうだ。

<定年制見直し議論>

賛成派は経済成長の鈍化など内外の環境が厳しくなる状況下で、強い権限を持つ指導者が必要だと主張する。習氏は昨秋、党内で別格の存在である『核心』の称号を得た。ただ、常務委員会の議長という位置づけの総書記では他の常務委員と同じ1票しか持たない。党主席になれば、より大きな権限を握れる。一方、慎重派が押し返せば、結論が持ち越される可能性もある。

北戴河会議では党大会時に68歳以上なら引退する慣習の見直しも議論する。念頭にあるのは習氏の右腕として汚職摘発を指揮してきた王岐山氏(中央規律検査委員会書記)の処遇だ。王氏は7月に69歳となり、秋に引退する。

習氏はこの定年制は明文規定のない慣習にすぎないとして、王氏の留任を検討しているという。反腐敗闘争を通じて政敵を排除してきた習氏にとって、王氏が最高指導部に残れば党内へのにらみが利く。習氏も22年の次回党大会は69歳で迎えるため、自らの3期目の布石にもなる。

最高指導部の人事では、習氏は7人いる政治局常務委員の過半数を側近で固めることをめざす。習氏は07年の党大会で最高指導部に入ったが、それまでは目立たない存在だった。政治局常務委員の候補となる高官の側近は多くない。王氏が残留すれば、過半数を握るのが楽になる。習氏は1期目に権力地盤を着々と固めてきた。党主席と定年延長の両方を実現するのは困難との見方もあるが、関係者はこう一蹴した。『習氏が権力強化を進める方向は変わらない。どこまで強くなるかという程度の問題だ』。

習近平総書記が秋の党大会で党主席復活の提案をするという。35年ぶりの毛沢東の威光の復活となる。2012年に総書記についた習氏の任期は2期で22年で終わる予定だが、党主席になれば2期10年となり27年までの長期政権となるが。共産党政権の70年の歴史的法則からすれば、2019年に中国共産党政権が崩壊するのが必然となるのに、である。

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