2017年2月7日 日経「NY株2万ドル、市場関係者の見方」

日経に「NY株2万ドル、市場関係者の見方」が載っている。

<原油高・減税で上値余地>GAMCO会長兼CEO マリオ・ギャベリー氏

米大統領選後から市場でのポイントは3つあった。1つ目はトランプ氏が勝利し、両院とも共和党が多数になった。世界中の投資家が『今後4年間は市場資本主義が重要になる』と話している。つまり民主党候補のバーニー・サンダース氏のような民主社会主義思想について当面心配する必要はない。これはとても良い方向に効いている。

2つ目は規制について変化が起きる可能性が高まったこと。金融セクターだけでも一部規制は過剰だ。政府分野に関してもお金の使い道が過剰に規制されている。3つ目は減税だ。今特に買われているのが小型株だ。大企業よりも米国をメインにビジネスを展開しているから、米国の法人減税の恩恵は大きい。

市場では政策の実現性や時期、規模についての疑問が飛び交っているが、大事なのは『企業利益がどうなるか』という点だ。石油輸出国機構(OPEC)は減産に合意しており、現油価格の上昇は良い材料だ。金融やエネルギー業種などの利益は税引き前で今後12~18カ月を見ると上昇するだろう。その上、減税もある。逆風はドル高と金利の上昇だ。とても単純な構図だ。私は相場全体の値動きには興味がないが、株式市場はまだ上値余地があると思っている。

保護貿易には警戒している。世界貿易は利点がある。1930年代には米国で保護主義が高まり経済の悪化を招いた。当時の政治家はビジネスを理解しておらず、何を犠牲にしているのか理解していなかった。自由でかつ公平な貿易が必要だ。トランプ氏が過度な保護主義に陥らないよう期待する。

<市場、景気拡大を先取り>A・ゲーリー・シリング社長 ゲーリー・シリング氏

米株式相場が大統領選後から大きく上昇したのは、トランプ政権でインフラ整備など大規模な経済刺激策が投入されるとの思惑が広がったためだ。市場は(刺激策に伴う)景気拡大を先取りした格好だ。

市場は大規模な財政出動に期待して上げてきた。量的緩和を通じた金融政策には景気刺激策として限界があると、米連邦準備理事会(FRB)や日銀など世界の金融当局が認めている。今年は金融政策より財政政策に重きを置く景気刺激策が主流になるだろう。

トランプ氏の大統領選での勝利をはじめ、フランス、英国など主要先進国でナショナリズムの高まりが目立つ。景気が拡大しても一部の富裕層ばかりが恩恵を受け、一般市民の所属はあまり触れなかった。不満を抱いた国民が、右翼の党や政治家に票を投じる傾向が強まっている。有権者は新政権に自分らに直接恩恵をもたらす経済政策を導入してほしいと願っている。

ただ2009年に大規模な経済刺激策が打ち出された際、議会通過などの手続きに時間がかかり、インフラ整備が動き出すまでに2年を要した。これを踏まえると、今回も実際に景気拡大につながるまでどれだけの時間がかかるかわからない。

トランプ政権では財政出動による景気刺激策と保護主義という2つの経済政策が主要テーマだ。中国やメキシコへの強硬姿勢や北米自由貿易協定(NAFTA)にどう向き合うかが注目される。財政出動より保護主義の政策実施が先になるはずだ。中国に高水準の関税をかけるアイデアは、トランプ流の値引き交渉だ。一定の水準に落ち着くだろう」。

NY株2万ドルは、原油高・減税で更なる上昇が期待されるとなっている。問題は、財政出動による景気刺激策が迅速に実行されるか、である。

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