2017年1月20日 朝日「政治断簡」 国分高史・編集委員「ポピュリズムの嵐吹く前に」

「安倍晋三首相はポピュリストではない」

朝日の「政治断簡」に国分高史・編集委員が「ポピュリズムの嵐吹く前に」を書いている。

「イギリスの国民投票による欧州連合離脱決定や米大統領選でのトランプ氏の勝利など、欧米では昨年、ポピュリズムの嵐が吹き荒れた。

これは日本の政治とは無縁なのだろうか。ポピュリズム研究で知られる吉田徹・北大教授に聞いてみると、こんな答えが返ってきた。『まず、安倍晋三首相はポピュリストではないと思います』

吉田氏によると、ポピュリストは『反エリート、反体制、反主流』の立場から、エリートらを徹底的に批判するのが特徴だ。政界のアウトサイダーだったトランプ氏が、大統領夫人や国務長官を経験したクリントン氏を罵倒し続けたことがその典型だ。

一方、安倍首相は祖父の岸信介元首相から連なるエリートの血筋を引く本流だ。むしろポピュリストからは批判される側にいる。

では、社会的な条件はどうか。欧米では2008年のリーマン・ショックの後、厳しい緊縮財政のしわ寄せで中間層が生活苦に追い打ちをかけられ、社会が傷んだ。これが人々の憤りをあおるポピュリズムを生む土壌となったが、日本ではアベノミクスの財政拡張策もあって、欧米ほどには傷んでいないというのが吉田氏の見立てだ。

なるほど。とはいえ、いまの日本に悪しきポピュリズムがはびこる土壌がないとは言い切れないだろう。

日本の中間層も弱っている。正社員より給与が低い非正社員は年々増え、いまや全体の約4割。厚生労働省の調査には、60%以上が『生活が苦しい』と答えている。正規と非正規、高齢者と若者、男性と女性――。分断線は私たちの社会でもあちこちに引かれている。

政界に目を転じれば、安倍首相をはじめ政治家の言葉は、ポピュリズムを先取りするかのようにますます攻撃的になっている。

先の国会での党首討論を振り返ってみよう。民進党の蓮舫代表がカジノ解禁をめぐる問題点を突いても、安倍首相はこれにはまともに答えず、『税収はみなさんの時代より増えた』と旧民主党政権の失敗をあげつらうばかり。

かたや蓮舫氏も『首相は息をするようにウソをつく』と言い放つ。国会は言論の戦場であるにしても、双方ともいかにきつい言葉で相手をおとしめるかに腐心しているように見えたのは、私だけだろうか。

党首討論では、長時間労働の是正や『同一労働同一賃金』をめざす『働き方改革』も取り上げられた。もともと民進党が重視していた政策であり、働く人たちの間の分断を埋める試みなのだが、これもお互いの案への批判の応酬で終わってしまった。

国会で政治家が罵りあっている場合ではない。人口減や財政難の現状を考えれば、さまざまな不平等の是正は待ったなしだ。かつての『社会保障と税の一体改革』のように、与野党合意で早急に進めていくべきものだろう。
ポピュリズムの嵐から、逃れられなくなる前に」。

コラムの主旨である「ポピュリズムの嵐吹く前に」に、異論がある。

日本では、今後も「ポピュリズムの嵐」は吹かないからである。安倍1強政権が2021年9月まで続く公算が高いからである。そもそも、ポピュリズム研究の第1人者である吉田徹・北大教授が「安倍晋三首相はポピュリストではない」と断言しているからである。理由は、祖父の岸元首相からの保守本流であり、憲法9条改正を悲願としているからである。ポピュリストから批判される側にいる。

問題は、日本のポピュリストは誰が、である。反安倍の野党、朝日を中心とする左翼メディアとなるが。彼らが主張する立憲主義、反安保法制、反原発、反アベノミクスがポピュリズムそのものとなるが。第2次安倍政権が5年目に入ったが、内閣支持率50%以上とは、日本の中間層がアベノミクスによって健在であるとの証左である。欧米のようなポピュリズムの嵐が吹く土壌がないが。

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