2016年12月15日 産経「29年度 税制改正大綱」「『夫婦控除』解散風で幻に」「税調勇み足・・官邸・公明の反対で頓挫」

産経に「29年度 税制改正大綱」「『夫婦控除』解散風で幻に」「税調勇み足・・官邸・公明の反対で頓挫」が書かれている。

「平成29年度税制改正では、配偶者控除を廃止し、働き方を問わない『夫婦控除』を創設するという抜本改革案が10月初旬に早々と頓挫した。夫婦控除の実現を急ぐ自民党税制調査会の首脳や財務省幹部らに対し、官邸や公明党が慎重姿勢を強め、税調が方向転換を余儀なくされた形だ。

『29年度改正で配偶者控除の見直しを検討する』

自民党の宮沢洋一税調会長は8月30日のインタビューでこう宣言した。胸中にあったのは、共働き世帯にも適用する夫婦控除への転換だ。9月9日には安倍晋三首相が政府税調で配偶者控除の見直しを指示。同14日には茂木敏充政調会長も夫婦控除に言及した。

しかし支持層に専業主婦らが多い公明党では、突然浮上した改革案に党員や支持者の反発が殺到した。29年夏の都議選に加え、29年1月の衆院解散説が急浮上した時期だったためだ。

ある公明党幹部は『(自民党と)一切話もしていないのに前のめり過ぎる。選挙に影響しかねない』と怒りを隠さなかった。ある自民党税調幹部は『(情勢が)一気に逆回転したのは、宮沢さんのあの発言からだ』と悔しさをにじませる。

宮沢氏らが夫婦控除に前のめりとなった背景には、財務省の佐藤慎一事務次官の動きがある。35年ぶりに主税局長から次官に就任した佐藤氏は、夫婦控除創設に意欲を燃やし、税調幹部への根回しを進めた。

ただ、夫婦控除導入に伴う税収減の穴埋めには、中所得者まで増税する必要がある。財務省幹部からも『政治的に難しい』との慎重論が少なからずあり、省内も一枚岩ではなかった。

公明党とのパイプを持ち、政権内で発言力の強い菅義偉官房長官が『(抜本的な見直しは)時間がかかる』と公言するようになると、宮沢氏や佐藤氏は受け入れる以外なかった。

かつては首相ですら手を触れることができない『聖域』とされた自民税調。だが一昨年の法人税改革や昨年の軽減税率導入をめぐる議論は、官邸や公明党に押し込まれた。そして今年も、いつかみた風景が繰り返された」。

平成29年度税制改正で、配偶者控除を廃止し、働き方を問わない『夫婦控除』創設との抜本改革が10月初旬に頓挫したのは、官邸と公明党との抵抗に拠ってである。1月解散・総選挙に不利になるとの理由である。税制改正で配偶者控除の枠を103万円から150万円までに拡大したのは、選挙対策故である。

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