2015年5月16日 朝日「南沙諸島、米中不信の渦」「米、最新鋭艦で偵察開始」「中国艦の追尾受ける」

朝日に「南沙諸島、米中不信の渦」「米、最新鋭艦で偵察開始」「中国艦の追尾受ける」が書かれている。

「中国が一方的に岩礁の埋め立て工事を進める南シナ海・南沙諸島で、米軍の最新鋭艦が偵察活動に入り、中国艦と遭遇する事態に至った。自衛隊は、この海域で領有権を主張するフィリピンやベトナムの軍との連携を深める。緊迫する南シナ海との情勢は、安全保障政策を転換しようとする日本にとって他人事ではない問題だ。

米海軍の最新鋭艦で、シンガポールにローテーション配備されている沿岸海域戦闘艦(LCS)が、南シナ海の南沙諸島周辺で初めて偵察活動をしたことがわかった。同諸島で中国が急速に進める岩礁の埋め立て工事を強く牽制する狙いがあるとみられる。偵察中に中国海軍の艦艇と遭遇し、追尾も受けたという。

米海軍は、LCS『フォートワース』が今月、1週間にわたり、南沙諸島周辺の海域で偵察活動を実施したと13日までに公表した。

LCSは複数回、中国海軍の艦艇と遭遇。日米中など21カ国の海軍当局で採択した『偶発的な衝突を回避するための行動(CUES)』を幾度もとる状況に至った。米軍準機関紙の星条旗新聞によれば、中国のミサイルフリゲート艦から追尾も受けたという。

この問題について、中国外務省の華春瑩副報道局長は14日の定例会見で『中国は関連する海域で監視活動を行い、国家の安全を損なう事態が生じることを防ぐ権利がある』とし、『引き続き監視を続ける』と米側の動きに反発した。中国は米軍の動きにいらだちを募らせており、華副局長は前日の会見でも『挑発行為をやめる』よう求めていた。だが米軍は、今後も偵察活動を続ける方針だ。

LCSの配備は、オバマ政権が進めるアジア重視政策の一環で、2013年からシンガポールに初配備された。南シナ海に米軍艦が恒久的に配備されるのはベトナム戦争以来で、20年までに4隻配備する計画だ。

<埋め立て、軍事利用を懸念、米「数年後に滑走路」>
オバマ政権は、中国による南シナ海の岩礁埋め立てへの批判を強める。16日に訪中するケリー国務長官は、習近平国家主席らに懸念を直接伝える方針だ。

中国の埋め立ては、昨年末からの4カ月間で、面積が4倍の8平方キロメートル(甲子園球場約200個分)に拡大したとされる。シアー国防次官補は13日、上院外交委員会の公聴会で、埋め立てで2~3年後に滑走路の完成が見込まれるとして、『潜在的に軍事利用されることを示している』と軍事拠点になる可能性を指摘した。

コーカー委員長(共和)は『中国は、南シナ海や東シナ海で軍事衝突にまで至らなければ、自らの主張を押し通すために何でもやる』と批判。南沙諸島のファイアリー・クロス礁で、海中の美しい岩礁が埋め立てられ、滑走路や港の原型ができている様子を衛星写真で説明した。

シアー氏は、滑走路は軍用に転用できるとの見方を示し、『より高度な航空作戦ができるようになる』と警戒した。中国が東シナ海に続いて南シナ海にも防空識別圏を設定した場合、埋め立て地が前線基地になる可能性がある。

米ウォールストリート・ジャーナル紙は13日、中国が埋め立てた岩礁から12カイリ(約22キロ)内に、米軍が空軍機や海洋艦船を派遣する案を検討していると報じた。この報道について公聴会でシアー氏はその国、に害を及ぼさない限り、領海でも自由に通航できる『無害通航権』に基いて岩礁に接近する権利はあるとの考えを示した。  

同紙によると、米政府内には、埋め立ての中止を求めるため、具体的な行動をすべきだとの意見が出ているという。ただ空軍機や海軍艦船の派遣案は、まだ正式にホワイトハウスには提出されていないとされる」。

オバマ政権は「数年後に滑走路」の完成が見込まれるとして、埋め立て中止の具体的な行動を検討しているという。一触即発の危機である。この「中国の脅威」の実態を国民は正しく知る必要がある。

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